【2025年度】DXハイスクールとは?補助金制度や具体的な取組事例をわかりやすく解説!
- star-sakurai

- 7月15日
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更新日:7月23日

1. DXハイスクールとは
DXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)は、文部科学省が令和6年度より開始した教育改革プロジェクトです。
この事業では、情報や数学などの教育を重視し、外部の専門家や大学と連携しながらICTを活用した探究的・実践的な学びを行う学校に対して、その環境づくりに必要な費用を支援します。
令和7年度の採択校数は1,191校(公立871校、私立320校)、そのうち80校が重点類型として採択されました。
2. 補助内容と採択校に求める取組例(令和7年度)
DXハイスクール補助内容のポイントまとめ ★補助対象は公立・私立の高等学校(中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部含む。) ★補助金額は継続校500万円/校(重点類型700万円)、新規採択校1,000万円/校(重点類型1,200万円) ★補助対象経費は採択された年度内に、DXハイスクールの取り組みを行う上で支出した経費(交付決定前の支出は対象外) ★具体的な取組例として、情報や数学などの理数系科目の履修推進や遠隔授業の活用、文理横断的な学びやデジタル課外活動の充実、高大接続の強化などが挙げられる。 |
▶補助対象
公立・私立の高等学校(中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部含む。)
▶補助金額
| 補助金額 | 重点類型の場合 |
継続校 | 500万円 | 700万円 |
新規採択校 | 1,000万円 | 1,200万円 |
▶補助対象経費
基本的に、採択された年度内に支出した経費が補助対象となります(交付決定前の支出は対象外です)。具体的な補助対象経費は以下の通りです。
設備備品費及び関連経費(事業実施に当たり、設備と一体として機能し、又は設備を利用するために導入時において不可欠な経費)
委託費、雑役務費、消耗品費
人件費(報酬、給料、職員手当等。ただし、学校教育法第60条に規定する教職員に関するものは除く。)
諸謝金、旅費、借損料、印刷製本費、会議費、通信運搬費、保険料
▶採択校に求める具体的な取組例
【基本類型・重点類型共通】
情報Ⅱや数学Ⅱ・B、数学Ⅲ・C等の履修推進(遠隔授業の活用を含む)
情報・数学等を重視した学科への転換、コースの設置
デジタルを活用した文理横断的・探究的な学びの実施
デジタルものづくりなど、生徒の興味関心を高めるデジタル課外活動の促進
高大接続の強化や多面的な高校入試の実施
地方の小規模校において従来開設されていない理数系科目(数学Ⅲ等)の遠隔授業による実施
専門高校において、デジタルを活用したスマート農業やインフラDX、医療・介護DX等に対応した高度な専門教科指導の実施、高大接続の強化
【重点類型】
令和7年度では特に「グローバル型」「特色化・魅力化型」「プロフェッショナル型」分野に重点を置き、以下の取り組みが求められています。
海外の連携校等への留学、外国人生徒の受入、外国語等による授業の実施、国内外の大学等と連携した取組の実施等
文理横断的な学びに重点的に取り組む新しい普通科への学科転換
産業界等と連携した最先端の職業人材育成の取組の実施
3. DXハイスクールの取組事例
▶高知県立窪川高等学校
高知県立窪川高等学校では、DXハイスクールとしての先進的な取組を通じて、生徒の起業精神や課題解決力を育む教育改革が進められています。
取組1:探究を軸にしたSTEAM教育の推進
数理・データサイエンス・AIを取り入れたSTEAM教育を導入し、文理横断型の情報系進学コースと、商業・農業を融合した6次産業推進カリキュラムを新設。地域課題研究やプログラミング教育を通じて、創造的な産業振興を担う次世代人材を育成しています。
取組2:デジタルラボの整備
ハイスペックPC、3Dプリンター、レーザー加工機、UVプリンター、ドローン・VRなどの最新機器を揃えたデジタルラボを整備。生徒たちが自らの手で機器を操作し、地域課題の解決や新たな製品づくりに挑戦。地域住民や小中学生にも開放され、地域連携の拠点としても機能しています。
取組3:講習(生徒向け)と研修(教員向け)の充実
外部講師やDXコーディネーターを招き、生徒向けのプログラミング講座や、教員向けのデータ活用研修を定期的に実施。情報モラルやAI活用など、デジタル時代に必要な知識・スキルの習得を目指しています。
こうした取組を通じて、「地域とともに成長し、社会課題の解決に貢献できるデジタル人材」の育成を進めています。
参考:
文部科学省 令和6年度 高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)事例集
▶宮城県宮城野高等学校
宮城県宮城野高校では、美術科と普通科の特色を活かし、STEAM教育とDXの融合による創造的な人材育成に挑戦しています。
取組1:「つくる」から始まる探究(Art)
美術科目と探究学習を連携させ、3Dプリンターやレーザーカッターなどを活用した創作活動を展開。「バーチャル卒業制作展」では、ICTと芸術の融合による表現の場を実現し、生徒の創造力とデザイン思考を育てています。放課後や休み時間にも創作活動ができる「DXラボ」も整備され、自主的な学びが促進されています。
取組2:論理的思考を育てる数理・科学教育(Math・Science)
情報や数学の授業を通じてプログラミングやデータ分析の基礎を習得。大学や企業と連携し、ソフトウェア開発やデータサイエンスに関するゼミ活動も実施しています。実社会の課題に触れながら、情報活用力や論理的思考力の育成を目指しています。
取組3:地域・世界とつながる学び(Glocal)
大学や企業、小中学校との連携により、デジタル技術の社会的意義を体験的に学習。東北大学などとの連携による講座、地域課題への取組、小中学生へのプログラミング教室などを通じて、社会貢献意識と協働力を育んでいます。
このように「アート×サイエンス×グローカル連携」を軸に、多様な角度から探究的な学びを展開し、次世代のクリエイティブDX人材の育成を進めています。
参考:
文部科学省 令和6年度 高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)事例集
4. DXハイスクールの類似制度
▶スーパーサイエンスハイスクール(SSH)
スーパーサイエンスハイスクール(通称SSH)は、文部科学省が科学技術、理科・数学教育に関する研究開発等を行う高等学校等を指定し、理科・数学に重点を置いたカリキュラムの開発や大学との連携による先進的な理数系教育を支援する制度です。
SSHは、将来の国際的な科学技術人材の育成を目的としており、令和7年度の指定校数は229校程度です。
指定期間は原則5年間で、年間600万円~1,200万円の支援金を受け取ることができます。
▶リーディングDXスクール
リーディングDXスクールは、GIGA端末の標準ソフトやクラウド環境を活用し、児童・生徒の情報活用能力を育成するとともに、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実、さらに校務DXを推進し、全国へ好事例の展開を目指す事業です。
全国の小・中・高等学校約200校が指定され、その取り組みは地域や校種を超えて、様々な学校での端末の「普段使い」による教育活動の推進に貢献しています。
DXハイスクールやスーパーサイエンスハイスクールのような大規模な補助金制度はありませんが、90万円を上限として事業完了後、経費支出が清算支払いされます。
5. DXハイスクールに役立つ機器製品のご紹介
ここからは、DXハイスクールの取組に役立つ機器製品をご紹介します。
▶UVプリンター
「XpertJet XPJ-461UF」

コンパクト設計ながら高精細なUV印刷ができる国産フラットベッドUVプリンター。
最大70mm厚まで対応し、アクリル・樹脂・金属・革など多彩な素材に直接印刷が可能。手動式テーブルと広い開口部により、部材のセットや微調整も簡単に行えます。デザインやクリエイティブ実習活動で活用できます。
「SureColor SC-V1050」

多彩な素材にフルカラー印刷できるコンパクトなUVプリンター。
1点からのオンデマンド製作が可能。Wi-Fi対応の使いやすい設計で、限られたスペースでも柔軟に設置できます。デザイン実習など想像力を育むプロジェクト学習に適しています。
▶レーザー加工機
「HAJIME CL1 PLUS」

デザインと高性能、レーザー製品の照射安全基準「クラス1」準拠の安全性を兼ね備えたデスクトップ型レーザー加工機。
A3サイズ対応で木材やアクリルなど幅広い素材への彫刻・カット加工が可能。直感的な操作性で生徒も扱いやすく、自動冷却システム搭載で長時間稼働も安心です。生徒の想像力を形にするものづくり教育を力強くサポートします。
導入事例を掲載! |
UVプリンター×レーザー加工機 UVプリンターとレーザー加工機を組み合わせることで、印刷する・彫る・切るという多彩な加工が可能になり、生徒たちの想像力と実践力を大きく育む教育環境を実現します。UVプリンターで印刷した素材をレーザー加工機でカット・彫刻しオリジナルな成果物(キーホルダーや雑貨など)が作成可能です。印刷する・彫る・切るプロセスを通じて、デザイン力やものづくり技術の育成を支援します。 |
▶3Dプリンター
「Value 3D MagiX MF-900」

独立式デュアルヘッドを搭載した国産3Dプリンター。
カーボン繊維入り素材にも対応し、高耐久・高精度な造形が可能。タッチパネルによる簡単操作、自動キャリブレーション機能などを備え、安定した運用が行えます。工業・デザイン・技術教育において実践的なものづくり体験を促進します。
「Value 3D MagiX MF-800」

国産のコンパクトで扱いやすいエントリーモデルの3Dプリンター。
ダイヤルとディスプレイで簡単に操作でき、初めての3Dプリンター教育に適したアイテムです。
▶デジタルホワイトボード
「ELMO Board」

資料の表示、手書き書き込み、保存・共有などを1台で実現するオールインワン型デジタルホワイトボード。
タッチパネル操作で専用ペンにも対応。Webブラウザ閲覧、Zoom連携など多彩な機能を搭載し、授業支援・グループワーク・リモート学習にも適しています。
活用例を紹介! |
▶スマートグラス
「InfoLinker3」

現実の視界を遮らず、デジタル情報を重ねて表示する日本製ウェアラブルデバイス。
音声コマンドやカメラ機能搭載で、遠隔支援・技術指導・記録・履歴管理が可能です。
作業手順の習得や職業訓練をより分かりやすくサポートする環境を整え、生徒一人ひとりの特性に応じた学びを実現できます。
導入事例を掲載! |
6. まとめ
DXハイスクールは、単なるICT機器の導入にとどまらず、生徒一人ひとりの創造性や主体性を育む教育環境の整備を目的としています。
デジタル技術を活用した探究的な学びや地域・大学との連携を通じて、次代を担う人材の育成が各地で進められています。
今後も学校現場におけるデジタル化の流れは加速することが予想される中で、教育の質を高めるための工夫と実践がますます求められます。本コラムがその一助となれば幸いです。
参考サイト
執筆者紹介
下原 えみ(shimohara emi)
2024年桜井株式会社に入社。社員研修後にマーケティンググループへ配属。社会人生活もWEBマーケティングもまさにゼロからのスタートとなるが、どちらも両立するべく日々勉強に励んでいる。新入社員ならではの視点と丁寧な文章力を武器に”ためになる”コンテンツ記事作成を目指す。